前回は痛みの定義や急性痛では生命に関わることもあるという内容を紹介しました。
今回は急性痛・慢性痛の違いも含めて紹介していきます。
急性痛と慢性痛の違いとして、よく言われていることは痛みの持続時間(期間)痛みを感じてから3ヶ月以上経過すると慢性痛、それ以前は急性痛。最近では組織の損傷度合いと痛みの関係でわけています。損傷度合いと痛みが釣り合っていると急性痛。損傷度合いと痛みが釣り合っていないと慢性痛。
時間と損傷を比較しても一致してくる部分はありますが、全てではありません。
なぜ、同じ痛みでも急性痛と慢性痛の違いを知る必要があるのかというと、痛みを感じている本人にしていれば痛みが無くなればどちらでもいいと思いますが、理屈が全く一緒ではないので、対応方法が違います。急性痛と慢性痛は別物の痛みとして取り扱った方がよりいい結果につながる可能性が高くなります。
痛みの仕組みとしてわかりやすいのは急性痛だと思います。
痛みの種類は大きく3つにわかれます。
□侵害受容性疼痛 末梢の自由神経終末に存在する侵害受容器が熱や機械的な刺激によって活性化されて生じる痛みみなります。器質的に損傷があります。
□神経障害性疼痛 原因や病態ははっきりとわかっていないが、痛みの感覚をつかさどる神経回路がどこかで傷つき、その神経の支配領域で痛みを感じていると考えられています。
□心因性疼痛(中枢神経障害性疼痛) 明らかな身体的異常がなく、社会生活で受けるストレスや日々抱えている不安といった要因(生物学的・心理的・社会的・行動要因)が複雑に絡み合っている可能性があるため、中枢神経系の異常で感じる痛みと考えられている。
急性痛は特に侵害受容性疼痛の理論と合致する部分が多いので痛みの改善の仕方も理解しやすいと思います。概要としては器質的に損傷を起こすと身体の作用で痛みを感じます。損傷した部分が修復されると痛みがおさまってきます。
急性痛はこのように理解して痛みの改善をめざしましょう。
次回は慢性痛についてになります。