前回は手のしびれについて大きな枠で話を進めてました。最後に疾患名をいくつか紹介しましたので、その中の手根管症候群について解説をしていきます。
手のしびれを訴えることで手根管症候群と分かることが多いです。もちろん痛みや筋肉の萎縮や麻痺なども起こります。この疾患の原因は手の指を支配している神経が圧迫されしまうことで起きます。この神経は正中神経と呼ばれるます。これが指までつながっていくのですが、手首を通る時に手根管といわれるトンネル状の内側を通過します。ここを通るのは神経だけでなく腱なども通ります。その腱などが炎症を起こし腫れたりするとトンネル内が狭くなり正中神経を圧迫してしまうということになります。
症状は正中神経の支配領域にしびれや痛み、筋委縮などやこわばり感が出てきます。場所は親指・人差し指・中指・薬指の親指側半分・手の爪になります。症状が酷くなると手の細かい動きが出来なくなったり、親指の付け根のあたりの筋肉がへこんでしまったりします。
正中神経にわざと圧迫をかけるテストを行うと症状が一時的に強くなるので比較的原因を探りやすい疾患ではないかと思います。
治療の基本として初期の頃は手首を安静に保ち過度な刺激を与えないことになります。その上でビタミン剤や消炎鎮痛剤・温熱療法など利用して症状の回復を目指していきます。これらを行っても症状が緩和されなかったり、悪化していくようなことがあると手術が検討されます。手術を受ける時に気をつけることは手術をして圧迫が除去できたからといって症状が100%回復をするとは限らないことを頭の片隅にいれておきましょう。
手根管症候群になってしまう原因ははっきりとわかっていませんが傾向は分かっているので傾向に基づいて予防をしていきます。現時点では仕事やスポーツなどで同じ動きを繰り返す動作が多い人やホルモンバランスを崩したり代謝疾患になってしまわないように食事・睡眠・運動をバランスよく行うことです。