腰痛といえば大人の定番とも言える痛みで、子供は無縁のものと思われがちです。
しかし、体に痛みが出てしまうことに年齢は関係ありません。
もし、年齢が関係する部分があるとすれば、年齢による特徴によって相対的な人数が大人に多いもの・子供に多いものがあるということです。
基本的に腰痛を子供が訴えることは少ないのですが、子供だからこそなりやすい腰痛の原因もあります。
そのひとつが腰椎分離症や腰椎分離すべり症になります。
腰椎分離症は、腰椎の椎弓(特に椎間関節突起の部分である椎弓根や椎弓板)に亀裂が生じる状態を指します。
この亀裂は、骨が完全に癒合せず「分離」した状態で、特に第5腰椎(L5)に多く見られます。
腰椎分離すべり症は、腰椎分離症を基盤として、椎体が前方に滑る(すべる)状態を指します。
これらが子供(若年層)に多い理由が
若年層は骨が成長段階にあり、骨端軟骨(成長軟骨)が存在します。
この軟骨部分は、成人と比べて骨が柔らかく、繰り返しの機械的ストレスに弱い特徴があります。
腰椎分離症は、椎弓の「疲労骨折」として発生することが多く、
特に成長期の骨は、過剰な負荷や反復動作によるストレスに耐えきれず、椎弓に微細な亀裂が生じやすくなります。
この時期の骨は、カルシウム沈着が未熟で、骨の強度が完全ではないため、スポーツや激しい運動による負荷が直接的な原因となり得ます。
成長期の骨は回復力が高い一方で、過剰な負荷が続くと修復が追いつかず、分離症が進行します。
腰椎分離症がさらに進行すると、椎弓の分離部分が不安定になり、椎体が前方に滑る「すべり症」に発展します。
若年層における腰椎分離症・すべり症の予防には、適切なトレーニング、休息、栄養が不可欠です。
体幹筋の強化・柔軟性の向上・適切な運動フォームの指導・過剰な負荷の回避が推奨されます。
スポーツ指導者や保護者は、若年層の身体的特徴を理解し、無理のない練習計画を立てる必要とともに
痛みや違和感を訴えやすい環境作りが大切になります。