前回は暑熱順化について話を進めました。
なぜ、暑熱順化が大切なのかというと熱中症になるリスクを回避するためになります。
熱中症の危険性について解説をしていきます。
熱中症になってしまった場合、体に大きなダメージを与えてしまうことがあります。
そして、重症度によっては後遺症が出てしまったり、生命に関わることもありえます。
だから、気温が高くなってくると盛んに熱中症の注意喚起が行われます。
熱中症のリスク
臓器障害は熱中症が進行し、体温が40℃以上になる熱射病の状態では、複数の臓器にダメージが生じる可能性があります。
□脳 高体温による意識障害やけいれん、脳浮腫が発生し、昏睡状態や後遺症(認知機能低下など)を引き起こすリスク。
□心臓 脱水と体温上昇により心拍数が増加し、心臓に過度な負担がかかる。心不全や不整脈のリスクが高まる。
□腎臓 脱水による血流低下で急性腎障害が発生し、腎機能が低下。重症化すると透析が必要になる場合もあります。
□肝臓 高温ストレスで肝細胞が障害を受け、肝機能異常を引き起こす。
□筋肉 横紋筋融解症(筋肉が壊死して筋肉成分が血液中に漏れ出す)が起こり、腎臓にさらなる負担をかける。
脱水症と電解質異常が起こります。
□血液濃縮 脱水により血液が濃くなり、血栓症(脳梗塞や心筋梗塞)のリスクが増加。
□電解質バランスの崩れ ナトリウムやカリウムの異常(低ナトリウム血症や高カリウム血症)が起こり、心拍異常や筋肉機能障害を引き起こす。
□ショック状態 血圧低下や循環不全が進行し、全身の臓器に酸素が供給されなくなる。
意識障害と神経系への影響
□重症の熱中症では、意識がもうろうとしたり、昏睡状態に陥るリスクがある。
□神経系の障害により、記憶力低下や運動機能障害などの後遺症が残る可能性。特に高齢者や子どもは回復に時間がかかる。
死亡リスク
熱中症が重症化した場合、致死率は10~50%に及ぶとされています(日本救急医学会のデータ)。特に以下の場合に死亡リスクが高まります。
高齢者(体温調節機能の低下)・基礎疾患(糖尿病、心疾患、腎疾患など)がある人・迅速な冷却や医療介入が遅れた人などが挙げられます。
このようなことが起きる可能性があるので熱中症にならないよう気をつけましょう。