前回はランナー膝について紹介をしました。そこで出てきた筋肉・靭帯が大腿筋膜張筋と腸脛靭帯になります。
名前はふたつに分かれますが大腿筋膜張筋が腸脛靭帯へグラデーションを描くように変化していくので単体の組織として捉えた方が理解がしやすくなると思います。
この筋肉は関節をふたつまたぐ筋肉になるので作用が若干複雑になります。作用は股関節の屈曲(太ももを前に出す)・外転(太ももを外に開く)と膝関節の屈曲(膝を曲げる)になります。
ご自身でこの動きを確認すると歩く・走るの時の動作になることが分かると思います。そうするとこの筋肉や靭帯を痛めしまうと日常生活にも支障が出やすいですよと言われたら何となくイメージできるのではないでしょうか。
どうすると痛くなりやすいのか。それは健康や趣味・競技として行うウォーキングやランニングによる繰り返しの動作によって痛める事が多いです。日常生活の買い物などでは痛める可能性は運動と比較するとかなり低くなります。
このような理由もあってなのか。前回、紹介したランナー膝と名称と痛みの場所がわかりやすくなっていると推測されます。ちなみに正確には腸脛靭帯炎と呼ばれます。
勘のいい方は「関節をふたつまたいでいるのに膝しか痛くならないの」と思うかもしれません。スマホやパソコンで調べても膝の痛みはたくさん出てきますが股関節側に対しての痛みはあまり見かけません。股関節を動かして痛みが出たとしても、この筋肉に関する痛みなら太ももの外側の情報が欲しいのに太ももの内側ばかりの情報がほとんどになってしまいます。調べた人はグロインペイン症候群と出てきたのではないかと思います。
実際は太ももの外側(股関節の方)を運動が理由で痛めている人もいます。ただ、ここに関する情報は多くはないと思います。この部分を痛める時は大腿筋膜張筋に対して不必要な負荷が加わっている時や運動の強度が体のレベルにあっていないなどが考えられます。
次回は症状の特徴や対応方法について紹介します。