骨化性筋炎について

首が痛い・腰が痛いといったら、硬くなった筋肉をマッサージで柔らかくしようと思う人は少なくありません。

もちろん、硬くなった筋肉をもみほぐすことによって痛みが取れて楽になることもあります。

ただ、すべてがマッサージで解決するかといえばそうでないことは誰しも知っています。

効果が上がらなかったとしても、状態が悪化しなければ問題ありませんが、

なかにはマッサージをしてはいけない場合もあります。

そのひとつに骨化性筋炎というものがあるので、これについて、紹介をしていきます。

骨化性筋炎は、筋肉や筋膜、腱、靭帯などの軟部組織内に異所性(本来ない場所)に骨組織が形成される疾患の総称です。

外傷後に発症しやすいため「外傷性骨化性筋炎(Traumatic Myositis Ossificans)」が最も多く知られていますが、先天性疾患として発症する重篤なタイプもあります。

□外傷性骨化性筋炎(最も頻度が高い)

大腿四頭筋(太もも前側)・上腕二頭筋・三角筋(上腕)・臀部などに好発

スポーツ外傷、打撲、交通事故、人工股関節全置換術後などに発生

若い男性に多い

外傷性骨化性筋炎の経過(典型例)

受傷後1〜2週間(急性期)強い打撲後の腫脹・疼痛・熱感

この時点ではレントゲンで異常なし

受傷後2〜4週間(亜急性期)腫瘤が硬く触れるようになる

レントゲンで淡い雲状の石灰化影が出現

受傷後1〜3ヶ月(成熟期)石灰化が明瞭になり、骨梁構造を持つ成熟した骨組織に

骨皮質と骨梁が認められ、周辺正常骨とは「ゾーナ現象(zoning phenomenon)」といって境界が明瞭に分離する(これが悪性腫瘍との鑑別点)

6ヶ月〜1年後自然に縮小・吸収されることもあるが、多くの場合は残存する。

□進行性骨化性線維異形成症(FOP:Fibrodysplasia Ossificans Progressiva)極めて稀(世界で約800例程度)

生まれつき母趾が変形していることが多い

ACVR1遺伝子の変異による常染色体優性遺伝

幼少期から軽微な外傷やウイルス感染で全身の筋肉が次々と骨化し、30歳前後でほぼ完全に動けなくなる進行性の難病

現時点で根治的治療法はなし

このようなケースもあるので、不安がある場合は専門家に相談しましょう。

 

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