首や肩甲骨のまわりに不快感やしびれ、腕に力が入りにくいと感じたら、胸郭出口症候群の場合があります。
そこで、胸郭出口症候群の知識をつけていきましょう。
原因
胸郭出口症候群は、首から腕にかけて走る神経(腕神経叢)や血管(鎖骨下動脈・静脈)が、
胸郭出口と呼ばれる領域(首と胸の間)で圧迫されることで発症します。
この圧迫は以下の要因で引き起こされます。
□解剖学的異常 余分な肋骨(頚肋)や筋肉の異常、先天的な狭窄が原因となる場合があります。
□姿勢不良 長時間の猫背や肩を前に出した姿勢が神経や血管を圧迫します。特にデスクワークやスマホの使用で悪化しやすいです。
□外傷 交通事故やスポーツでの衝撃により、周辺組織が炎症を起こしたり瘢痕化したりすることがあります。
□筋肉の過緊張 斜角筋や小胸筋の過度な発達や緊張が圧迫を引き起こします。
主な症状は、腕や手のしびれ、痛み、筋力低下、血行不良による冷感や変色です。
治療
治療は症状の重さや原因に応じて異なります。
保存的治療
□理学療法 姿勢矯正や筋肉のストレッチ、強化運動で圧迫を緩和。
□生活習慣の改善 長時間同じ姿勢を避け、エルゴノミクスを考慮した環境調整。
□薬物療法 痛みや炎症を抑えるため、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されることも。
外科的治療
保存的治療で改善しない場合、頚肋の切除や圧迫部位の筋肉・組織の解放手術が行われることがあります。
特に血管や神経障害が重度の際に検討されます。
予防
予防には日常生活での注意が重要です。
□正しい姿勢の維持 背筋を伸ばし、肩をリラックスさせる習慣をつける。
□ストレッチと運動 首や肩周りの筋肉を柔軟に保つため、定期的なストレッチや軽い運動を取り入れる。
□作業環境の工夫 デスクや椅子の高さを調整し、長時間同じ姿勢にならないよう休憩を挟む。
□過度な負荷の回避 重い荷物を肩にかけすぎないよう注意する。