ウィンターブルーという言葉を聞いたことがありますか。
正式には「季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder:SAD)」のうち、
冬型と呼ばれるもので、北欧やカナダ、アメリカ北部、日本でも北海道や東北など緯度の高い地域で多く見られます。
秋から冬にかけて日照時間が短くなる時期にだけ現れる、季節性のうつ病の一種になります。
特徴的な症状
□過眠(一日10時間以上寝ても眠い)
□過食、特に炭水化物や甘いものへの強い欲求(体重増加を伴うことが多い)
□強い倦怠感・だるさ(体が鉛のように重い)
□気分が落ち込む、楽しめない
□集中力の低下
□人と会いたくなくなる(夏のうつは逆に不眠・食欲低下が目立つことが多い)
しかし、一般的なうつ病とは少し違います。
いわゆる「一般的なうつ病」が「やる気がゼロで何もできない」感じなのに対し、
ウィンターブルーは「とにかく眠い・食べたい・動きたくない」という、まるで冬眠しているクマのような状態になるのが特徴です。
一番の原因は「日光不足」です。
具体的には
セロトニン(気分を安定させる脳内物質)の減少
メラトニン(睡眠ホルモン)の過剰分泌(日光が少ないと分泌が止まりにくい)
体内時計(サーカディアンリズム)の乱れ
特に朝の日光を浴びる時間が減ると、これらのバランスが大きく崩れます。
日本では冬の朝7~8時の日照時間が極端に短いため、影響を受けやすい人が多いと言われています。
治療・対処法
□光療法(ひかりりょうほう)が第一選択
→ 10,000ルクスの専用ライトを朝30~60分浴びる(普通の部屋の明かりの20~50倍の明るさ)
→ 効果は早い人で2~4日、遅くても2週間以内に現れることが多い
□朝の散歩(可能な限り)
→ 曇っていても屋外の光は室内の数十倍明るい
→ 15~30分でも効果あり
□生活リズムの固定
→ 毎日同じ時間に起きる・寝る(過眠しがちでも努力する)
運動(特に屋外)
→ セロトニン分泌を促す
□栄養面
→ ビタミンDの補充(日光で作られるため冬は不足しがち)
→ セロトニンの材料となるトリプトファン豊富な食品(バナナ、大豆、魚、ナッツなど)
日本で「冬季うつ」はまだ認知度が低く、「冬太りした」「だらしないだけ」と誤解されがちです。
しかし、北海道の調査では人口の約5~10%が軽度~重度の症状を経験しているというデータもあり、決して珍しい病気ではありません。
特に女性や20~40代に多い傾向があります。「毎年冬だけ調子が悪い」「春になると急に元気になる」というパターンがある人は、一度疑ってみる価値があります。

















