前回は自己免疫疾患について話をすすめました。
今回、関節リウマチについて紹介をします。
以前は関節リウマチというと手や足の変形が酷くなってしまっている人を見かけることも少なくありませんでした。
しかし、最近では手や足の変形をしている人を見かけることが少なくなりました。
これは関節リウマチの症状を上手くコントロールできるようになってきたからだと考えられます。
関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis、以下RA)は、自己免疫疾患の一つで、主に全身の関節に慢性の炎症を引き起こす病気になります。
RAの正確な原因は未だ完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境的要因の相互作用が関与していると考えられています。
RAの主な症状
□朝のこわばり 朝起きたときに手足の関節が硬くなり、動かしにくい状態が1時間以上続く。
□関節の痛みと腫れ 特に手首、指の関節(近位指節関節や中手指節関節)、足の関節などが対称性に侵される。
□関節の変形 進行すると関節が変形し、尺側偏位(手が外側に曲がる)やスワンネック変形などが生じる。
□全身症状 倦怠感や疲労感・微熱や体重減少・皮膚の下にリウマチ結節(硬いしこり)が現れる・間質性肺炎や血管炎などの合併症。
RAの診断 2010年のアメリカリウマチ学会/欧州リウマチ学会(ACR/EULAR)の分類基準が用いられます。
□血液検査 リウマチ因子(RF)や抗CCP抗体の陽性。
□炎症マーカー(CRPやESR)の上昇。
□画像検査 X線 関節の骨びらんや関節腔の狭小化を確認・超音波やMRI 滑膜炎や軟骨の損傷を早期に検出。
□臨床症状 関節の腫れや痛みの持続期間、対称性、朝のこわばりなどを評価。
RAの治療目標は、炎症を抑えて症状を軽減し、関節破壊の進行を防ぎ、生活の質(QOL)を維持・向上させることになります。
早期に適切な治療を開始すれば、関節破壊の進行を抑え、寛解(症状がほぼ消失した状態)に至る可能性が高まります。
しかし、治療を怠ると関節の変形や機能障害が進行し、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。