前回は膝の内側に起きる痛みの話でした。
今回は膝の外側に起きる痛みについて紹介をしていきます。
腸脛靭帯炎は、ランナーやサイクリストなど、繰り返しの膝の屈伸運動を行う人に多く見られる膝の外側の痛みを特徴とするスポーツ障害になります。
スポーツ障害とはいえ、スポーツをしていない人でも同様の痛みが出ることはあります。
原因腸脛靭帯炎は、腸脛靭帯が膝の外側で大腿骨の外側上顆(骨の突起部分)と繰り返し擦れることで発生するといわれています。
主な原因
□オーバーユース 長時間のランニングやサイクリング、特に下り坂や硬い路面での活動が靭帯に過剰なストレスをかける。
□筋力のアンバランス 大腿筋膜張筋(腸脛靭帯を動かす筋肉)や臀部筋、大腿四頭筋の筋力不足や柔軟性の欠如が、靭帯の緊張を高める。
□バイオメカニクスの問題 内反膝(O脚)、過剰な足の回内(足が内側に倒れる)、または骨盤の傾きが腸脛靭帯に負担をかける。
□路面や環境 下り坂やカーブの多いコースでのランニングは、膝の外側に負担を集中させる。
主な症状
□膝の外側の痛み 膝の外側、特に大腿骨外側上顆付近に鋭いまたは焼けるような痛みが生じる。初期は運動後に痛み、進行すると運動中にも痛む。
□活動による悪化 ランニング(特に下り坂)、階段の降りる動作、または膝を30度程度曲げた状態で痛みが強まる。
□きしむ感覚 腸脛靭帯が擦れることで、膝の外側にきしむような感覚や音(クレピタス)が現れることがある。
□局所的な圧痛 膝の外側を押すと痛みが誘発される。
□軽度の腫れ 炎症により膝の外側がわずかに腫れる場合がある。
パターンとして、痛みは運動開始後や長時間の活動で悪化し、休息で軽減します。
適切な治療と予防策を行えば、腸脛靭帯炎は数週間から数ヶ月で改善することが多いです。
ただし、根本的な原因(筋力不足やフォームの問題)を解決しないと再発リスクが高まります。理学療法やトレーニング習慣の継続が重要です。