アスリートは普段から体を鍛えているので腰痛とは無縁のように感じますが
実際は腰痛で悩んでいる人も少なくはあありません。
そこで、アスリートに多い腰痛の原因を紹介していきます。
腰椎分離症・すべり症
腰椎分離症は、腰椎の椎弓(骨の一部)に疲労骨折が生じる疾患で、10~20代のアスリートに多く見られます。
特にジャンプやひねり、過度な伸展(背中を反らす動作)を繰り返すスポーツ(サッカー、バスケットボール、体操、野球など)で発症しやすいです。
分離症が進行すると、腰椎が前方にずれる「すべり症」に発展することがあります。
症状
□腰の鈍い痛み、特に運動時や背中を反らす動作で悪化
□長時間立っていると不快感が増す
□進行すると下肢へのしびれや痛み(神経圧迫による)
原因
□成長期の骨が未成熟な時期に、反復する伸展や回転動作によるストレス
□遺伝的要因(骨の脆弱性)
□不適切なフォームや過度なトレーニング
対処法
□安静 骨折の治癒を促すため、コルセットで腰を固定し、スポーツ活動を一時休止(通常3~6か月)。
□リハビリ 腹筋や背筋(コアマッスル)を強化し、腰への負担を軽減。
□手術 分離部が癒合しない場合や、すべり症が進行して神経症状が強い場合は、骨接合術や固定術を検討。 早期発見が重要で、X線やMRIで診断します。放置すると慢性腰痛や神経障害のリスクが高まります。
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板(腰椎のクッション役)が圧迫され、内部の髄核が外に飛び出すことで神経を刺激する疾患。ス
ポーツでは、前屈やひねり、衝撃の多い動作(ラグビー、柔道、ウェイトリフティングなど)が原因となりやすい。
症状
□腰痛に加え、臀部から下肢への放散痛(坐骨神経痛)
□前屈や長時間の座位で痛みが悪化
□重症では感覚異常、筋力低下、排尿障害
原因
□急激な負荷(重いバーベルの持ち上げなど)
□反復する前屈・ひねり動作
□加齢による椎間板の変性(若いアスリートではまれ)
対処法
□保存療法 安静、消炎鎮痛剤、ステロイド注射で炎症を抑える。コアマッスルの強化やストレッチで姿勢を改善。
□リハビリ 理学療法で柔軟性と筋力を回復。
□手術 神経症状が重く、保存療法で改善しない場合、椎間板摘出術や内視鏡手術を検討。
スポーツ復帰には3~6か月かかることが多く、再発予防のためフォーム修正やトレーニング量の管理が重要です。
このふたつの疾患は知っておくと対応もスムーズになると思います。