痛みの話が続きますが、痛みは2つ分けて考えることがあります。
急性痛と慢性痛になります。
これは前回も解説をしましたが、同じ痛みでも、意味は全く違います。
| 項目 | 急性疼痛 | 慢性疼痛(現代の定義) |
| 持続期間 | 通常数日〜数週間 | 3ヶ月以上(または6ヶ月以上) |
| 目的 | 身体の危険を知らせる | 警告機能が失われることが多い |
| 原因と痛みの関係 | ほぼ比例 | 比例しない場合も非常に多い |
| 治療の焦点 | 原因の除去 | 痛み自体の管理+生活機能の維持 |
長年、悩んでいる痛みに該当するのは、慢性痛になります。
痛みは急性痛から始まって、慢性痛に移行をしていきます。
だから、いきりなり慢性痛になることはほとんどのケースありません。
原因がはっきりとしている急性痛の時点で治しきることが大切になると考えられます。
急性痛の痛みの改善の仕方は原因によって変わってくるので、同じ場所が痛いからと治療方法も同じとは限らないので専門家に相談しましょう。
慢性痛に移行していくのにどのような過程をたどっていくのか。
一般的には、組織損傷や炎症などの急性期(数日〜数週間)から、通常の治癒期間(おおむね3ヶ月程度)を超えて痛みが持続・増悪する慢性期へと移行します。
□急性痛の段階(侵害受容性疼痛のピーク)
ケガ、手術、炎症などが起きると、末梢の侵害受容器(C線維・Aδ線維)が活性化され、痛み信号が脊髄→脳へ伝わります。
この時点の痛みは「警告信号」として生物学的に意味があり、患部を保護する行動(安静・防御姿勢)を促します。同時に末梢感作(peripheral sensitization)が起こります。
この段階ではまだ「原因が治れば痛みも消える」状態です。
□移行期(亜急性〜3ヶ月前後)
中枢感作の開始と可塑的変化ここで最も重要な転換点が中枢感作(central sensitization)です。
この時期に痛みの性質が変化し始めます。
患部以外にも痛みが広がる(二次痛覚過敏・拡散性痛覚過敏)
軽い触覚で痛む(アロディニア)
痛みの持続時間が長くなる
□慢性痛の確立(3ヶ月以降)
脳・神経回路の再編成末梢の組織はほぼ修復されても、中枢神経系が「痛みを記憶・再生産」する状態になります。
移行を促進する危険因子(予測因子)
強い・長期間の急性痛
女性、若年〜中年、高い疼痛カタストロフィジング傾向
不安・うつ傾向、睡眠障害、ストレス
遺伝的素因(COMT遺伝子多型など)
不適切な初期治療(過度な安静、必要以上のオピオイドなど)
このような経過を辿ります。

















