健康を維持するために生活習慣が大切だということは盛んに言われているので、知らない人はいないと思います。
生活習慣で大切なことは何と言われたら食事(栄養)や運動はパッと頭に出てくるのではないでしょうか。
また、毎日の習慣で行っている歯磨きも健康にかかわる重要なポイントになります。
これは口腔の状態が健康におおいにかかわってくるからです。
口腔は単に食物を摂取する場所ではなく、全身の健康と密接に結びついた重要な役割を果たしています。
歯、歯茎、舌などの口腔内の状態が悪いと、見た目や快適さに影響するだけでなく、さまざまな病気の発症リスクを高めることが科学的にわかっています。
口腔内の健康が全身に影響する理由の一つは、細菌の存在です。
口の中には数百種類の細菌が生息しており、通常は唾液や免疫系によってバランスが保たれています。
しかし、歯磨き不足や不適切なケアで歯垢や歯石が溜まると、細菌が異常に増殖し、歯周病や虫歯を引き起こします。
特に歯周病は、歯茎の炎症から始まり、進行すると歯を支える骨まで破壊する病気です。
この炎症が問題なのは、口腔内にとどまらず、血流を通じて全身に影響を及ぼす点です。
例えば、歯周病菌が血管に入り込むと、心臓病や脳卒中のリスクを高めることが研究で示されて
歯周病患者は健康な人に比べて心筋梗塞のリスクが約2倍になると報告されているようです。
口腔の健康は栄養摂取にも直結します。
歯が欠けたり、歯茎が痛んだりすると、十分に噛めなくなり、消化が不完全なまま食物が胃に送られるため、
胃腸に負担がかかります。
特に高齢者では、噛む力が弱まることで柔らかい食事に偏りがちになり、栄養不足や筋力低下を引き起こすリスクがあります。
これが「オーラルフレイル」と呼ばれる状態で、要介護状態への入り口とも言われています。
しっかり噛める口腔環境を保つことは、健康寿命を延ばす鍵になります。
予防策としては、毎日の歯磨きが基本です。
歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシを使って歯間の汚れを取り除くことが大切です。
また、定期的な歯科検診で早期発見・早期治療を行うことも効果的です。
食生活では、糖分の多い飲食物を控え、唾液分泌を促すためによく噛む習慣をつけるのも良いでしょう。
唾液には抗菌作用があり、口腔内を清潔に保つ自然の防御機能があります。