ここ数回は首の神経を圧迫することで起きる疾患について紹介をしてきました。少しタイプは違うけれど似たような症状が出る疾患に胸郭出口症候群というものがあります。今回はこちらを紹介していきます。
胸郭出口症候群の症状は腕を上げた時に痛みやしびれが出ます。特に肘から先にビリビリしたり・疼くような感覚すると訴える人が多いです。また、握力が低下したり、細かい手の作業がしづらくなったり、運動麻痺が出ることもあります。
原因は胸郭出口といって胸の少し上あたりから首の付け根で神経や血管が圧迫されることで起きます。圧迫される箇所は3つに分けられています。
□斜角筋症候群
□肋鎖症候群
□小胸筋症候群
この3つをまとめた呼び方が胸郭出口症候群となります。
原因は日常生活やスポーツでよく行う動作が引き金になることが多いといわれています。
□野球・バレーボール・テニスなどオーバーハンドの動きがあるスポーツ
□吊革に掴まる・洗濯物を干すなど手を繰り返し上げる動作
□腕や肩の筋力トレーニング
□なで肩や猫背などの不良姿勢
などがあり繰り返しの動作がポイントになっているようです。
治療方法は
□生活指導 症状が出る時のパターンや動作などを把握し、症状の出る状況を回避するようにします。原因になる動きや姿勢をしなけば症状は出ないはずです。ここを基準にして日常生活に支障をきたさないように個々にアレンジしていきます。
□薬物療法 消炎鎮痛剤・血流改善剤・ビタミン剤などで症状の緩和を目指します。
□リハビリテーション 運動機能の維持や改善をするためにストレッチや筋力トレーニングを行ったり、器具を装着したりして物理的に圧迫を除去したりします。症状が初期の段階や軽症の時は効果を期待できます。
□手術療法 構造的に圧迫しているものを除去することで症状の改善を目指します。具体的には第1肋骨除去術・頚肋切除術・筋肉切除術などがあります。
症状の重症度により治療方法の選択が変わるので気になる時は専門家に相談してみましょう。