本来持つ言葉の意味と実際に使っている時のニュアンスが違うことはすくなくありません。
知り合い同士や前提の条件が整った上で使っている言葉なら本来の意味と同じでなくても問題はありません。
しかし、公式の場や専門的な話をする時は本来持つ言葉の意味がルールになるので、
言葉の意味は知っていたほうが無用なトラブルを避けることにつながります。
今回は後遺症と後遺障害の違いについて紹介をします。
□後遺症 治療によってこれ以上改善が見込めない状態を指します。
症状の程度は軽度から重度まで幅広く、日常生活に影響を与える場合もあれば、ほとんど気にならない場合もあります。
具体例は、交通事故で骨折した後に痛みが残ったり、脳梗塞の後で手足に麻痺が残ったりすることです。
後遺症はあくまで「症状が残っている状態」を広く指すため、日常生活や仕事への影響度合いは問わず、
医学的な事実として扱われます。
□後遺障害 後遺症の中でも特に法律や保険の分野で使われる用語で、一定の基準を満たし、労働能力の喪失や生活への重大な影響が認められる状態を指します。
主に交通事故や労災の損害賠償で使用され、補償額を決定する重要な要素となります。
法律・保険的視点から後遺障害は、
後遺症が「後遺障害等級」に該当するかどうかを評価し、認定された場合に補償の対象となります。
日本では、自動車損害賠償保障法や労災保険に基づき、1級から14級までの等級が定められています。
補償や賠償の金額に直結するため、厳格な基準と手続きが設けられているので、
後遺障害として認定されるには、症状が「永続的」「他覚的(客観的に証明可能)」であることが求められます。
例えば、単なる自覚症状(痛みやしびれ)だけでは認定が難しい場合があります。
分かりやすくまとめると
後遺症はケガや病気による治療後の症状全般を指す医学的用語で、補償とは直接関係しません。
一方、後遺障害は後遺症の中でも法律・保険の基準で評価され、労働能力の喪失や生活への影響を基に補償が決定される状態です。